ギターの演奏で、せっかく決まったフレーズを弾いたのに、チョーキングをした際に上の弦を巻き込むノイズが発生し、台無しになってしまう経験はありませんか。
このノイズ問題は、中級者になる過程で多くのギタリストが直面する大きな壁です。
また、Fコードなどのバレーコード(セーハ)で3弦が鳴らないという悩みも、チョーキングの上達と同様に、単なる握力不足ではなく、生体力学に基づいた正しいフォームと、楽器のセッティングという二つの側面から解決が可能です。
この記事では、「チョーキング 上の弦 巻き込む」というノイズの根本原因から、具体的なフォーム改善のコツまでを徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたはノイズのないクリーンなチョーキング技術を習得し、セーハの苦手意識を克服できると信じています。
- チョーキング時に発生するノイズの根本原因と仕組みを理解できる
- 左手と右手を使った高度なミュート技術の具体的な手順がわかる
- 力の入れ方や指の角度に関する正しいフォームのコツを掴める
- 弾きにくいと感じる原因となる楽器のセッティングについて把握できる
チョーキングで上の弦を巻き込む原因とは
- なぜチョーキングで入り込むのか
- 弦を持ち上げるフォームの誤解
- 巻き込みノイズが出る仕組み
- ユニゾンチョーキング上の弦が鳴る理由
- チョーキング時の1弦が音詰まり
なぜチョーキングで入り込むのか
まず結論から申し上げますと、チョーキングで弦を持ち上げる際、指が上の弦(低音弦側)に触れてしまうこと、つまり入り込むこと自体は、弦を大きく持ち上げる以上、物理的に避けられない現象です。
あなたは「指が触れないようにしよう」と試みているかもしれませんが、これでは不必要な力が入ってしまい、かえってフォームが不安定になります。
このため、プロフェッショナルな演奏においてチョーキングは、「弦を持ち上げて音程を変える技術」と「目的の弦以外をすべて消音(ミュート)する技術」の複合テクニックとして定義されます。
私たちは「入り込みを避ける方法」を探すのではなく、「入り込んでもノイズを出さない方法」を習得することが最終目標となります。
弦を持ち上げるフォームの誤解
多くの方が、チョーキングの際、指先だけの力(握力)で弦を持ち上げようと試みます。
しかし、これは根本的な力の誤解に基づいています。
いくら握力を鍛えても、指先だけの力で弦を持ち上げようとすると、特に薬指や小指でのチョーキング時に指が力に負けて反って(Collapse)しまい、弦を的確に持ち上げることができません。
本来は、チョーキングのパワーは指の力ではなく、ドアノブを回すような「手首のひねり(回旋)」から生み出されます。
この強力な動作を安定させるため、人差し指と親指でネックをしっかりと握り込み、支点を作ることが不可欠です。
親指をネックの上から出し、人差し指の付け根と親指でネックをしっかりホールドすることで、手首の回転運動を効率よく弦に伝えることができるのです。
巻き込みノイズが出る仕組み
チョーキングの際に上の弦を巻き込むことによってノイズが出てしまうのは、単純に意図しない上の弦が振動してしまうからです。
特にアンプのゲインを高く設定(強く歪ませる)した場合、弦にわずかに触れているだけでも、ピックアップがその微細な振動を拾い、ノイズとして増幅されてしまいます。
したがって、このノイズを根本から解決するためには、押弦している指が上の弦に触れた瞬間、その触れた弦の振動を完全に止める必要があります。
これを実現するのが、後述する左手と右手の高度なミュート技術です。
ユニゾンチョーキング上の弦が鳴る理由
ユニゾンチョーキングとは、二つの弦を同時に鳴らし、そのうちの一方をチョーキングして、同じ音程(ユニゾン)にするテクニックです。
このテクニックにおいて上の弦が鳴ってしまう原因は、通常のチョーキングと同様ですが、さらにノイズが目立ちやすいという特性があります。
これは、二つの弦が鳴っているため、ミュートされていない弦に意識が向きづらくなるからです。
たとえユニゾンチョーキングで1弦と2弦を鳴らしていたとしても、押弦している指で3弦や4弦をミュートする意識を持たなければ、ノイズは避けられません。
また、ネックを握り込むフォームを取れていないと、親指による6弦や5弦のミュートも不十分になりがちです。
チョーキング時の1弦が音詰まり
チョーキングの途中で「プスッ」と音が消えてしまう現象を、ギタリストは音詰まり(Fretting Out)と呼びます。
これは「チョーキングで上の弦を巻き込む」ノイズ問題とは異なり、多くの場合、プレイヤーの技術不足が原因ではありません。
音詰まりの主な原因は、ギターの機材セッティング、特に弦高やフレットの状態にあります。
音詰まりの主な原因と対策
- フレットの偏摩耗: フレットが均一に減らず、特定の箇所だけが摩耗していると、弦を持ち上げたときに音が詰まります。
- 弦高が低すぎる: 弦を持ち上げた際に、すぐ上のフレットに弦が接触してしまい、音が詰まることがあります。
- ネックの逆反り: ネックが張りすぎている状態も、弦高を極端に低くし、音詰まりを引き起こします。
このような症状が見られる場合は、技術練習よりも先に、ギターの調整(リペア)を行うことを強く推奨いたします。
チョーキングで上の弦を巻き込む対策法
- 左手の人差し指ミュート技術
- 右手ミュートでノイズを消す
- 安定させるフォーム改善のコツ
- 弦高セッティングも見直そう
- 他の人はこちらも検索
- チョーキングで上の弦を巻き込む悩み解決
左手の人差し指ミュート技術
「上の弦を巻き込む」ノイズを直接的に解決するのが、左手(押弦する手)による高度なミュート技術、特に人差し指の役割です。
チョーキングをする弦より上(低音弦側)のミュートは、主に人差し指や親指が担います。
弦を持ち上げる際、押弦している指(例:薬指)はその上の弦(3弦をチョーキング中なら4弦)に必然的に触れます。
この時、チョーキングをサポートしていない人差し指の指先や側面を、ノイズが発生しやすい上の弦に軽く触れさせてミュートします。
そして、チョーキングする弦より下(高音弦側)のミュートは、人差し指の腹が担います。
チョーキングした弦を元に戻す際に、勢い余って下の弦(例:2弦チョーキング時に1弦)を弾いてノイズが出ることを防ぐため、人差し指の腹を下の弦の上に軽く触れさせておくのです。
これにより、人差し指は「指先で上の弦を、腹で下の弦をミュート」するという、二重の高度なノイズ対策を同時に実行します。
右手ミュートでノイズを消す
前述の通り、特にアンプのゲインを高く設定(強く歪ませる)した場合、左手だけのミュートではノイズを完全に防ぎきれません。
弦にわずかに触れているだけでもノイズとして増幅されてしまうためです。
このため、プロのギタリストは、右手(ピッキングハンド)によるミュートを必ず併用します。
このテクニックは、手のひらの側面、特に小指球(手のひらの小指側の膨らんだ部分)を、ブリッジのサドル上、またはその少し手前に軽く乗せることで実行します。
手のひらの側面で、ピッキングする弦以外のすべての弦、特にノイズ源となりやすい低音弦(4, 5, 6弦)の振動を物理的に止めます。
右手のミュートのポイント
右手の位置は、ブリッジサドルに近すぎるとミュート効果が弱くなり、ネック側に近づけすぎるとサスティン(音の伸び)が失われます。
ピッキングする弦の音色に影響を与えず、かつ他の弦のノイズを最も効率よく抑えられる「スイートスポット」を探すことが重要です。
安定させるフォーム改善のコツ
チョーキングの指の角度には、「指は立てる」と「指を若干寝かせる」という一見矛盾する指導が存在します。
しかし、これらは異なる「悪い例」を否定しているものであり、正しいフォームは一貫しています。
「立てる」の真意は、指が力に負けて逆反りしてしまう(=指の関節が潰れる)ことを防ぎ、指の構造的な強度を保つことにあります。
一方で、「寝かせる」の真意は、弦に対して指を垂直に立てすぎると、指先が不安定になり、チョーキングの途中で弦から滑り落ちてしまうリスクを防ぐことです。
したがって、結論として正しいフォームとは、「指の関節が逆反りしない構造的強度を保ちつつ、弦から滑り落ちないよう安定した角度(垂直より若干寝かせた角度)で当てる」状態を指します。
加えて、押弦している指だけでなく、中指や人差し指も弦に添えて「指を束にする」ことで、安定性とパワーが格段に向上します。
弦高セッティングも見直そう
チョーキングやセーハが異常に難しいと感じる場合、それはプレイヤーの技術不足だけではなく、楽器のセッティングが物理的な障壁となっている可能性が非常に高いです。
特に弦高(弦と指板の距離)は演奏性に最も大きな影響を与えます。
弦高が高い場合、弦の反発が強くなり、弦が硬く感じられます。
これにより、セーハではより強い力が必要になり、チョーキングでは弦を持ち上げる動作が物理的に重くなります。
多くの初心者がFコードで挫折する原因の一つが、調整されていないアコースティックギターなどの高い弦高です。
逆に弦高が低すぎると、チョーキング時に音が詰まる(音詰まり)原因にもなります。
「技術練習を始める前に、まずはギターの弦高やネックの反り(トラスロッド)が適正に調整されているかを確認することをおすすめします。
弾きやすいギターは、上達を加速させてくれますよ!
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チョーキングに関する問題を解決した後に、多くのプレイヤーが次に直面するのが、バレーコード(セーハ)に関する問題です。
特に「Fコードで3弦が鳴らない」という現象は、「握力が足りないからだ」と誤解されがちですが、根本的な原因は「力の不足」ではなく、「フォームの非効率性」と「力学的な誤解」にあります。
Fコードの構成音で3弦(G線)を押さえるのは中指ですが、この中指が寝てしまい、指の腹が意図せず隣の2弦に触れてミュートしてしまっていることが、鳴らない最大の原因です。
また、人差し指のセーハ自体も、指の腹ではなく、わずかに回転させ親指側の「側面(骨張った部分)」で弦を押さえることで、少ない力でクリアな音を出すことが可能になります。
チョーキングで上の弦を巻き込む悩み解決
チョーキング時に「上の弦を巻き込むノイズ」は、適切なミュート技術とフォームを習得することで確実に解決できる問題です。
そして、その技術の習得は、セーハなど他の技術の習得にも必ず役立ちます。信じて練習を続けていきましょう。
本レポートで解説した内容を、症状別に素早く診断し、解決策へアクセスするためのクイック・リファレンスとしてまとめます。
| 症状(Symptom) | 考えられる主な原因(技術面) | 考えられる主な原因(機材面) | 解決のポイント |
|---|---|---|---|
| 上の弦(低音弦)が鳴る(巻き込みノイズ) | 左手の人差し指・親指によるミュート不足 | ハイゲイン設定(歪ませすぎ) | 両手ミュートの徹底 |
| 指が弦から滑り落ちる | 指を立てすぎている、指の力だけで上げている | – | 手首のひねり活用、指を束ねる |
| チョーキングの途中で音が詰まる(消える) | – | 弦高が低すぎる、フレットの偏摩耗 | 弦高・ネックの調整 |
| バレーコードで3弦が鳴らない | 中指が寝て2弦に触れている | – | 人差し指の側面で押さえる |
- チョーキングで上の弦に触れることは物理的に避けられない現象である
- 問題は「巻き込み」そのものではなく「ノイズ発生」にある
- プロの演奏では「弦を持ち上げる技術」と「ミュート技術」の複合である
- チョーキングの力は指の握力ではなく手首の回旋(ひねり)から生まれる
- 親指と人差し指でネックを握り込み、手首の力を伝える支点とする
- 指は逆反りしないよう強度を保ちつつ、滑らないよう若干寝かせた角度で当てる
- 中指や人差し指を添えて「指を束にする」ことでパワーと安定性を増す
- 左手の人差し指の先で上の弦をミュートする
- 左手の人差し指の腹で下の弦をミュートし、離弦時のノイズを防ぐ
- 右手の小指球(手のひら側面)をブリッジ付近に乗せてノイズを物理的にカットする
- 弦高が高すぎるとチョーキングもセーハも難しくなる最大の原因となる
- チョーキング時の音詰まりは、多くの場合フレットの偏摩耗など機材が原因である
- セーハは握力ではなく、腕全体のテコの原理を活用して押さえる
- 人差し指の「腹」ではなく「骨張った側面」で押さえることがコツである
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